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| 「お客様がお金を落とした瞬間と、数秒後に誰かがお金を拾って盗んでいる瞬間のカメラ映像が見つかりました…」 
 という話を、駅員さんから聞いた。
 
 そう、説明するまでもなく、当方は駅でお金を落とした。
 その総額は1,1000円。
 これはまだ働いていない「中学生」や「高校生」であれば舌を噛んで自殺したくなるような金額であるし、働いている「中年」や「老年」であっても「数時間はメンタルが元に戻らない程の大金」だ。
 
 きのような理由から、当方は「駅の防犯カメラに現金を落とした瞬間/お金を拾われて盗まれた瞬間のカメラ映像があるという事」と「シンプルに落としたものを誰かに盗まれました」という事を報告する為に、最寄りの警察署の刑事課 / 盗犯へ向かった。
 
 そう、被害届けを出す為にだ。
 
 ここからの話は長くなるので色々と割愛させて頂くが、担当となった警察官の方曰く、駅の防犯カメラ映像を確認した限りでは「お金を拾った犯人の顔がしっかり映っている」という事、そして何よりよく映っていたのは「当方のポケットからお札がヒラヒラと地面に舞い落ちていたシーン」という事らしい。
 
 「ヒラヒラとお札が舞い落ちる」
 
 そんな事があるだろうか?
 いくらお札が紙で出来いるとは言え、咲き散る桜のように「ヒラヒラと舞い落ちる」という事がありえるのだろうか?
 
 なので当方は警察官に聞きかえした。
 
 吉野 「本当にお札はヒラヒラと舞い落ちたのですか?」
 
 警察官「警察としては証拠品なのでお見せする事はできないのですが、本当に見た事がない程にキレイにお札がヒラヒラと舞い落ちているんですよ。本当にヒラヒラ~って音がしそうな位に美しい感じに。そしてその6秒後に誰かが拾って持って行っていきました。」
 
 吉野 「美しいくらいに…」
 
 警察官「そう、お見せしたい位に、美しくヒラヒラと…」
 
 間違いない、当方の1,1000円は美しく地上へ舞い降りたのだ。
 そして誰かに1,1000円は盗まれた。
 
 本件は昔話にある「羽衣伝説(天女の羽衣)」と酷似していた事から、当方はこの事案を「羽衣伝説 窃盗事件」と命名する事にした。
 
 その後、担当となった刑事さんは様々な話をした。
 
 どのような経緯で警察に来ようと思ったのか、どこでお金を落とした事に気づいたのか、どうして落とした金額がざっくりとではあるのかを理解していたのか、どうやってお金を落とした場所を駅だと特定したのか、当方の年齢やステータスはどんな感じなのか、吉野さんってゲーム好きなんですかとか、セガのゲーム機ユーザーって結構マニアックな人が多いんですよとか、メガドライブ!! 懐かしいですね!!久しぶりに聞きましたよその言葉!!という話とか、いやほんとドリキャスまで買っている人なんて自分も含めておかしい人ばっかりですよとか、こう見えても私も結構大人になるまでゲームはやってたんですよとか、ところで刑事さんのオススメのゲームってなんですか? など様々な事を話した。
 
 「あれ? なんで俺たち今テレビゲームの話をしているんだっけ?」
 
 そう思った次の瞬間、刑事さんは次のような言葉を述べた。
 
 「私のオススメはドリームキャストのゲームなんですが、エターナルアルカディアってゲームが一番好きですね!! ホント凄く面白いんですよ!!!」
 
 当方は「アレ?」と思う。
 
 「俺なんかさっき、セガマニアと、ドリキャスユーザーの事を卑下してなかったっけ? そしてそのオススメのタイトル、知らないんですけど… もしかして刑事さんってセガマニアでゲームオタク?」
 
 当方は焦った。
 もし眼の前の刑事さんが、昔当方に絡んできた戦闘民族のようなセガマニアであるならば、先程の失言を理由に
 
 「お前はセガを愚弄した。だから我々はオマエの被害届けは受けない。何故なら我々は戦闘民族だから。」
 
 と言われる可能性はあるし、当方の持論であるが「昔から『ホトケの顔も三度まで』と言うが、実際のところ『セガマニアの顔は一度まで』」である場合が多い。
 
 なので当方は、怒涛の勢いでとりつくろった。
 もはや子どもの言い訳レベルに。
 
 「あッッ、でも僕もドリキャス持っていましたし、ドリキャスって実際に凄いゲーム機でしたよね!!  あとほら、メガドライブって今振り返るとファミコンより全然いい感じだった気がします!!」
 
 こうして読み返すと只管にダサいが、戦闘民族タイプのセガマニアの恐ろしさを重々承知している当方からすれば、まずはこのような場合「その場しのぎ」をする事が大事だ。
 
 その後の事はあまり覚えていない。
 ただ何となく覚えている事は、刑事さんが
 
 「あくまで私の個人的意見ですが、今のゲームより昔のゲームの方が面白かった気がしますねぇ…。吉野さんはご存知ないかもしれませんが、『いっき』とか『コンボイの謎』なんかは本当に面白いゲームだったと思いますよ。」
 
 と、「なかなかのクソゲーゲーマニアである事」を述べた事を皮切りにファミコン話が始まり、気づけは当方はテレビゲームの話をした事により心の傷は癒えた。
 
 警察官という人々の人間力に感嘆した、ある夜の日の話である。
 
 という訳で本日は、昔からビデオゲームで遊んでいた方ならば高確率で知っている名作シューティングゲーム「ASO」が、レトロPCの名機「MSX」に勝手移植されたという情報をご紹介!!
 
 https://www.youtube.com/watch?v=r9yCZOiSv8I
 勝手移植なMSX版 ASOのダウンロード先
 
 https://www.youtube.com/watch?v=r9yCZOiSv8I
 勝手移植なMSX版 ASOのプレイ動画
 
 こちらはSNKが1985年に発売した名作シューティングゲーム「ASO」を気合と根性でレトロPCの「MSX」へ10年もの時間をかけて勝手移植するという、正に勝手移植サーガと言っても過言ではない素晴らしい作品。
 
 当方はぶっちゃけ「ASO」というシューティングゲームをプレイした事がない「本物のレトロゲーム素人」なので本作の移植度を正確に判断はできないが、オリジナル版と勝手移植なMSX版のYouTube動画を比較した感じでは「かなり似ている感じがする!!」という印象を受けた。
 
 なので、子どもの頃から今日までずっと「MSXに夢中」なMSXダンディーな方ならば本作について「移植度のジャッジメントができると思う」し、MSXに詳しくなくとも「寝ても冷めてもレトロゲームの事ばっかり考えている電脳中年な方」ならば、この作品の移植度がどれだけなのか判断できるのではないだろうかと思う。
 
 
 なおこれは余談となるが、本件を別事件の担当である刑事課の某課長代理に世間話として語ったところ
 
 「あー、私は随分前にテレビゲームはやめてしまいましたね。確かファイナルファンタジーがCD4枚組だったやつを最後だったかなぁ…」(多分ファイナルファンタジー7)
 
 と、結構大人になるまでテレビゲームで遊んでいた事が発覚した上に、ちょっとだけこの話で盛り上がったので「テレビゲームは中年の共通言語なのかもなぁ…」と思う今日この頃ではある。
 
 という訳で「ASOってSNKのゲームですよね?」と問うと「いや、新日本企画。そこは間違うな、このバカチンが!!」という程に間違いを許さない方や、「ASOってあれですよね、飛行機が弾を飛ばして敵を倒すゲーム」などと適当に問いかけると「縦シューな、わかりやすく言うとゼビウスタイプの。いい加減それ位は覚えろ!!」と戸塚ヨットスクールばりにスパルタにゲーム情報を教えてくれる方、「最近ASO(閉塞性動脈硬化症 = Arterio-Sclerosis Obliteransになっちゃいまして…」と話したところ「え、なんで? ASOってArmored Scrum Objectの事でしょ? もしかして君ってメカ?」と、現実と虚構が入り混じった世界で生きている方などは、こちらの作品をチェックして「MSXってマジでスゲーーーー!!」と歓喜の声を上げてみてはいかがでは。
 
 追記・・・当方がnoteに書いた「名誉毀損罪と侮辱罪で逮捕され勾留されている容疑者へ会いに行った話」の担当であった別の刑事課 課長代理は「龍が如くシリーズ」と「グランド・セフト・オートシリーズ」が大好きだったので、当方の担当は「ゲーム好き」を課長によってあてがわれているのかもしれない。
 
 https://note.com/renpou_note
 当方のnote
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